屈折する星屑の終焉

デビッド ボウイ氏が亡くなられた。自分のお金で買った最初のLPレコードが彼の”Ziggy Stardust”で、私が音楽を聞くことを趣味とするようになった、きっかけを与えてくれたのが彼であった。彼の音楽は、私の悶々とした十代と常に一緒にあり、その、幅の広さが、私に一歩ずつでも前へ進む勇気を与えてくれた。
今でもそうだが、私は、昔から、音楽を聞くことにのみ興味があり、アーティスト本人の姿形やアクティビティについては、余り興味が無かった。そのため、彼の奇抜なファッションや、その、型破りな行動などにはほとんど関心が無く、ただひたすらに、彼の曲のみを聴き続けてきた。しかし、それだけで、いや、それだからこそ、彼の曲の幅の広さ、ボーダレスな曲想に魅了され続けた来た。グラムロックの創始者として、華々しくデビューし、その華麗な容姿と怪鳥のような澄み切った声で全世界を魅了した後に、その後も、華麗なる変身を遂げながら、常に音楽界の第一線を走り続けた彼であったが、私には、ただひたすら、ロック、フォーク、ジャズ、ブルース、ダンスミュージックとあらゆるジャンルのポピュラーミュージックを、何の違和感も無く、彼の曲として歌い続ける、唯一無二のボーカリストでしかなかった。彼の曲は、ロックでもフォークでも無く”デビッド ボウイの曲”だった。
つい最近、新しいアルバムがリリースされた。彼のCDは、店頭で無くなることは無いので、いつも通り、のんびりとその機会を待っていた私は、まだ入手していない。しかし、これが彼の最期のアルバムであり、そして、今後、けっして新しい曲がリリースされることが無いと考えると、何となく、安易に手に入れることに戸惑いを感じる。
不出世のボーカリストのご冥福を心からお祈りします。

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